真昼の星空
次の日から、二人は当たり前のように一緒にいた。

特別なことは何もしていないのに、気づけば隣にいる。
席も、帰り道も、自然と並ぶ。

相変わらず周りには友人が集まってくる。
にぎやかな輪の中でも、二人はいつも隣同士だった。

帰りも、どちらかが待って、並んで歩く。

それでも——

まだ広哉にも、ユリにも、何も言っていなかった。

そんな日が一週間ほど続いたある日。

昼休み、いつものようにみんなで集まっていると、ユリが口を開いた。

「っていうかさ、雅人と陽ってどうなってんの?」

一斉に視線が集まる。

空気が少しだけ静まった。

雅人と陽は顔を見合わせる。

どちらともなく、少し笑って、

「どうっていうか……」

言葉を濁した、そのあと。

雅人が、はっきりと言った。

「付き合い始めた」

一瞬の間のあと、

「キャー!」「え、まじで!?」「おー!」と歓声が上がる。

「やっとかー!」

「おめでとー!」

「遅ぇよ!」

次々に飛んでくる声に、陽は顔を真っ赤にして俯いた。

ユリが身を乗り出す。

「ってことはさ、陽がずっと片想いしてたのって雅人ってこと?」

陽は小さく頷く。

「……うん」

「で、雅人は陽に好きな人がいると思って片想いしてたってこと?」

「そう」

間。

ユリが真顔で言う。

「なにそれ。怖いんだけど」

誰かが吹き出す。

「都市伝説レベル」

「純愛すぎる」

そして別の誰かが言った。

「怪談、両片思い」

一瞬の静寂のあと、また笑いが弾ける。

「怖っ!」「切なすぎるだろ!」

にぎやかな声に包まれながら、

真ん中で、二人はただ恥ずかしそうに笑っていた。

長すぎた片想いが、ようやく同じ場所にたどり着いたみたいに。

広哉は、二人きりになるのを見計らって声をかけた。

「まさとくーん、報告がないじゃないのー?」

わざとらしく肩をすくめる。

雅人は苦笑いを浮かべた。

「ごめん。なかなか広哉と二人になるタイミングなくて」

「陽とずっと一緒にいるもんねー」

からかうように言われて、雅人は少しだけ視線を逸らす。

「で?」

広哉が身を乗り出す。

「あの日? 神社の前でユリが“陽の片想いが実りますように”って言ってた日」

雅人は頷いた。

「そう。あのあと二人でスカイツリー行って、告白した」

「へぇ」

興味を隠さず、さらに近づく。

「なんて言ったの?」

雅人は少しだけ黙って、観念したように口を開いた。

「……辛い片思いしてるなら、その人のこと想ったままでもいいから、俺のところに来てって」

広哉が一瞬固まって、それから大きく笑った。

「おー、言うじゃん」

雅人は照れくさそうに笑う。

「そしたらさ、ようちゃんがずっと好きだった人ってのが、俺だった」

広哉は呆れたように息を吐いた。

「いや、あのさ」

少し肩を落としてから言う。

「陽は誰が見ても、雅人のこと好きにしか見えなかったけど?」

雅人は驚いた顔で振り向く。

「え?」

「ほんと焦れったいよ、お前ら」

くすっと笑う。

「このあともさ、やることやるまで時間かかるんだろうね」

一瞬の沈黙。

「やめろよ」

雅人が即座に遮る。

「下世話なこと言うなって」

耳まで赤くなっている。

広哉はそんな様子を見て、さらに笑った。

「はいはい、お幸せに」
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