真昼の星空
圭祐が急に言う。
「ってゆうか気持ち悪い」
旬が聞き返す。
「何が?」
圭祐が雅人と旬を見る。
「雅人と旬が敬語なの。」
肘をテーブルにつく。
「ここにいるってことはそうゆうことでしょ?」
もう自然に「雅人」と呼び捨てている。
旬が肩をすくめる。
「俺は全然いいけど」
雅人が少し困る。
「いやいや…」
グラスを持ち直す。
「そうゆう訳には…」
広哉が笑う。
「もういいだろ、なあ旬。」
雅人の肩を軽く叩く。
「もう雅人と旬で」
旬があっさり言う。
「いい。」
そのやり取りを希がキラキラした目で見ている。
広哉がふと陽を見る。
「陽、」
少し真面目な声。
「みんなに陽見つかったって連絡していい?」
陽が顔を上げる。
広哉が続ける。
「雅人は海外行ってるのは分かってたけど、」
ゆっくり言う。
「ほんとに陽どこにいるのか分からなくてみんな心配してたし。」
少し笑う。
「結婚式にも2人には来て欲しかったのに。」
陽の表情が揺れる。
視線が落ちる。
「でも、今更…」
小さな声。
「こっちから勝手に切って。」
指先を握る。
「合わせる顔がないってゆうか、」
少し息を飲む。
「みんな、私の事なんて忘れてるでしょ」
広哉がすぐ言う。
「忘れるわけないでしょ。」
まっすぐ見る。
「陽があの時命懸けで雅人と別れたってことでしょ?」
静かな声。
「そんなことくらいみんな分かるから」
その瞬間。
陽は瞬きひとつしない。
大きな瞳から。
涙があふれる。
止まらない。
ボタボタと落ちる。
頬を伝い、顎から落ちる。
雅人が言う。
「ごめん、俺のせいで」
広哉がすぐ言う。
「お前は謝るな。」
はっきり。
「悪くない。」
少し間。
「誰も悪くない。」
部屋が静かになる。
全員が広哉の言った
「命懸けで別れた」
その言葉を受け止めていた。
それだけこの二人は真剣だった。
陽は静かに涙を流している。
声は出さない。
ただ涙だけが流れている。
凌がそっと肩を抱く。
美海は陽の腕にしがみついて泣いている。
希も。
目を潤ませながら陽を見ている。
さっきまでの笑い声が消えた部屋に。
静かな時間だけが流れていた。
静まり返っていたリビングに、まだ涙の余韻が残っている。
誰もすぐには言葉を出せない空気。
その中で。
雅人が静かに口を開く。
「とりあえず凌、」
少しだけ口元を緩める。
「おまえ1回離れろ」
一瞬の間。
次の瞬間。
みんなが吹き出す。
凌が「え?」という顔をする。
美海も涙を拭きながら笑う。
圭祐が笑いながら言う。
「どさくさに紛れて近ぇよなぁ。」
腕を組む。
「そっち気になってあんまり話入ってこなかったわ」
また笑いが起きる。
張り詰めていた空気がほどけていく。
陽も涙を拭きながら小さく笑っている。
旬はその様子を見ながら思う。
こういう時の圭祐には。
ほんとに救われるな、と。
さっきまでの重さが少しだけ軽くなった部屋にまた小さな笑い声が戻っていた。
広哉が陽を見る。
「で、陽は今どこでなにやってんの?」
昔を思い出すような目。
「2人とも超一流企業やめちゃって。」
陽があっさり答える。
「毛糸屋さん」
広哉が聞き返す。
「毛糸屋さん?!」
少し身を乗り出す。
その横から希がすぐに口を挟む。
「ただの毛糸屋さんじゃありません。本も3冊出してます。」
誇らしげな顔。
「売れてます。」
さらに続ける。
「編み物教室もしています」
まるで自分のことのように説明している。
(私、陽さんのことならなんでも知ってます)
そんな空気。
そして言う。
「そしてなんとMinoのファンです。」
陽の服を見る。
「今日も全身。」
陽が自分の袖を見る。
小さく笑う。
「その通りです。」
クスクス笑う。
雅人が話し出す。
「再会してから知ったんだけど…」
「住んでる家は近所だし、」
少し苦笑する。
「うちの事務所とようちゃんの店なんてほんと目と鼻の先だったの」
少し間を置く。
「あんなに探してたのに近くにいた」
誰かが小さく「すごいな」と呟く。
偶然とは思えない距離が…
「ってゆうか気持ち悪い」
旬が聞き返す。
「何が?」
圭祐が雅人と旬を見る。
「雅人と旬が敬語なの。」
肘をテーブルにつく。
「ここにいるってことはそうゆうことでしょ?」
もう自然に「雅人」と呼び捨てている。
旬が肩をすくめる。
「俺は全然いいけど」
雅人が少し困る。
「いやいや…」
グラスを持ち直す。
「そうゆう訳には…」
広哉が笑う。
「もういいだろ、なあ旬。」
雅人の肩を軽く叩く。
「もう雅人と旬で」
旬があっさり言う。
「いい。」
そのやり取りを希がキラキラした目で見ている。
広哉がふと陽を見る。
「陽、」
少し真面目な声。
「みんなに陽見つかったって連絡していい?」
陽が顔を上げる。
広哉が続ける。
「雅人は海外行ってるのは分かってたけど、」
ゆっくり言う。
「ほんとに陽どこにいるのか分からなくてみんな心配してたし。」
少し笑う。
「結婚式にも2人には来て欲しかったのに。」
陽の表情が揺れる。
視線が落ちる。
「でも、今更…」
小さな声。
「こっちから勝手に切って。」
指先を握る。
「合わせる顔がないってゆうか、」
少し息を飲む。
「みんな、私の事なんて忘れてるでしょ」
広哉がすぐ言う。
「忘れるわけないでしょ。」
まっすぐ見る。
「陽があの時命懸けで雅人と別れたってことでしょ?」
静かな声。
「そんなことくらいみんな分かるから」
その瞬間。
陽は瞬きひとつしない。
大きな瞳から。
涙があふれる。
止まらない。
ボタボタと落ちる。
頬を伝い、顎から落ちる。
雅人が言う。
「ごめん、俺のせいで」
広哉がすぐ言う。
「お前は謝るな。」
はっきり。
「悪くない。」
少し間。
「誰も悪くない。」
部屋が静かになる。
全員が広哉の言った
「命懸けで別れた」
その言葉を受け止めていた。
それだけこの二人は真剣だった。
陽は静かに涙を流している。
声は出さない。
ただ涙だけが流れている。
凌がそっと肩を抱く。
美海は陽の腕にしがみついて泣いている。
希も。
目を潤ませながら陽を見ている。
さっきまでの笑い声が消えた部屋に。
静かな時間だけが流れていた。
静まり返っていたリビングに、まだ涙の余韻が残っている。
誰もすぐには言葉を出せない空気。
その中で。
雅人が静かに口を開く。
「とりあえず凌、」
少しだけ口元を緩める。
「おまえ1回離れろ」
一瞬の間。
次の瞬間。
みんなが吹き出す。
凌が「え?」という顔をする。
美海も涙を拭きながら笑う。
圭祐が笑いながら言う。
「どさくさに紛れて近ぇよなぁ。」
腕を組む。
「そっち気になってあんまり話入ってこなかったわ」
また笑いが起きる。
張り詰めていた空気がほどけていく。
陽も涙を拭きながら小さく笑っている。
旬はその様子を見ながら思う。
こういう時の圭祐には。
ほんとに救われるな、と。
さっきまでの重さが少しだけ軽くなった部屋にまた小さな笑い声が戻っていた。
広哉が陽を見る。
「で、陽は今どこでなにやってんの?」
昔を思い出すような目。
「2人とも超一流企業やめちゃって。」
陽があっさり答える。
「毛糸屋さん」
広哉が聞き返す。
「毛糸屋さん?!」
少し身を乗り出す。
その横から希がすぐに口を挟む。
「ただの毛糸屋さんじゃありません。本も3冊出してます。」
誇らしげな顔。
「売れてます。」
さらに続ける。
「編み物教室もしています」
まるで自分のことのように説明している。
(私、陽さんのことならなんでも知ってます)
そんな空気。
そして言う。
「そしてなんとMinoのファンです。」
陽の服を見る。
「今日も全身。」
陽が自分の袖を見る。
小さく笑う。
「その通りです。」
クスクス笑う。
雅人が話し出す。
「再会してから知ったんだけど…」
「住んでる家は近所だし、」
少し苦笑する。
「うちの事務所とようちゃんの店なんてほんと目と鼻の先だったの」
少し間を置く。
「あんなに探してたのに近くにいた」
誰かが小さく「すごいな」と呟く。
偶然とは思えない距離が…