真昼の星空
広哉がグラスを置く。

「雅人、ごめんな。」

雅人が少し驚く。

「え?あ、うん」

広哉がすぐ言う。

「じゃ、続きお願いします」

陽が笑う。

「なんなの?」

圭祐が身を乗り出す。

「で?次は?」

陽が少し天井を見て思い出す。

「次の人は、飲み会?合コン?みたいので知り合った人。」

グラスを持ち直す。

「編み物教室の生徒さんが色んな業種の人来るし、ひと枠空いちゃったから来てみませんか?って。」

少し笑う。

「人数も多いし、お店も高級なお店だからあんまり変な人いないかなって。」

圭祐が言う。

「前のやつは二股だし、雅人はいねえししょうがねえよな」

みんな笑う。

「圭祐はやさしいね。」

「うるせえよ」

陽が続ける。

「そこで知り合った3歳年上の人。」

少し考える。

「なんか、IT系?の会社の人で、かっこいいし、仕事出来るっぽいし、話も合う。」


「とにかく一緒にいて会話が途切れなくて。」

少し微笑む。

「無言でも気まずくなくて。」

美海が素直に聞く。

「なんで別れたの?」

陽はあっさり答える。

「プロポーズされた」

広哉の動きが止まる。

美海が驚く。

「なのになんで?」

陽は少し間を置く。

「あのね。」

静かに言う。

「その人。私のこと抱かないの。」

広哉、凌、圭祐、美海の声が重なる。

「え?」

すぐ続く。

「どうゆうこと?」

陽は落ち着いて言う。

「付き合ってる間に2回だけ。」


「2年以上付き合ってそれだけ。」

静かに続ける。

「なのにプロポーズされたの。」

美海が混乱した顔で陽を見る。

陽が優しく言う。

「みみちゃん、ごめんね。大丈夫?聞けそう?」

美海が頷く。

「大丈夫」

圭祐が手招きする。

「美海こっち来い」

美海が圭祐の隣へ座る。

広哉が聞く。

「それでどうしたの?」

陽は静かに答える。

「まだ29歳だったし。」

少し考える。

「この人と結婚したら、私、死ぬまでもうしないのかなと思ったら、」

グラスの氷が音を立てる。

「パートナーがいるのにしないのと、いなくてしないの、どっち選ぶ?ってなって。」

小さく笑う。

「ならひとりでいること選んだ。」

美海が涙声で聞く。

「ようちゃんその事その人と話したことある?」

陽は頷く。

「あるよ。」

少し間。

「でもね。それって必要?って言われたの。」

みんな息を飲む。

陽が続ける。

「私もね、その時は前の人が結構すごかったから」

みんな一瞬黙る。(あいつ凄かったんだ…)

「そうゆうのちょっと疲れてたのもあったし、まあ、たまにでいいかなってやり過ごしちゃったの。」

静かに言う。

「外に行くと俺の女感出してくるし、抱き合って寝るし、行ってらっしゃいのキスもするけど、その先はしない。」

グラスを置く。

「それでプロポーズお断りして別れた。」

凌が低い声で言う。

「陽先輩目の前にして信じられないし許せない」

陽が言う。

「別れてから少しして、言われたの。」

みんな前のめりになる。

広哉が聞く。

「なにを?」

陽が答える。

「ちゃんと抱くからより戻そうって」

一瞬、誰も動かない。

静まり返る。

雅人が言う。

「俺はそいつが1番好きだけどね」

雅人が笑いながら言う。

陽と目を合わせる。

二人で自然に笑い合う。

その空気の中で、他の誰も笑わない。

圭祐が少し考えてから口を開く。

「ちょっとよくわかんない」

陽も苦笑する。

「うん。」

肩をすくめる。

「わたしもよくわかんない。」

「今度会ったらどうゆう事だったのか聞いてみようと思ってる」

そう言って笑う。

「2回出来たってゆうことは、あちらの体に何かある訳ではなさそうだよね?」

少し首を傾ける。

「ってゆうことは、私がなんかダメだったのかもね。その人にとって。」

静かに言う。

「今なら傷つかないで聞けると思う。」

圭祐が腕を組む。

「どんなやつなの?そいつ」

その瞬間、また旬と希の様子が少し不自然になる。

目を合わせない。

圭祐がすぐ言う。

「お前らやっぱりなんか知ってるよな?」

陽がすぐ口を挟む。

「最後まで無事な人にだけ教えます」

いたずらっぽく笑う。

圭祐が美海を見る。

「美海はムリだな。」

少し笑う。

「酒弱いから」

美海がすぐ反応する。

「弱くないもん」

少し頬を膨らませている。

雅人、陽と目を合わせる。

二人で笑う。

その空気の中で、他の誰も笑わない。
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