気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
5.秋風と、ともに。
秋色キャンパス
10月。
夏の暑さは少しずつ落ち着き始め、朝の風が少しだけ冷たくなってきた。
窓を開けると、どこからか金木犀の甘い香りが流れてくる。
「もう秋かぁ」
長かった夏休みも終わり、今日から後期の講義が始まる。
夏の間は家でみんなと顔を合わせる時間が多かったけれど、これからはまた、それぞれが忙しくなる。
柊弥さんは卒業を控え、就職まであと半年。
希遥さんはコンテストと学園祭へ向けた制作。
想くんは相変わらず建築漬けの日々。
そして私は、来年夏の教育実習へ向けた授業が少しずつ増え始める。
季節が変わるように、私たちの日常も少しずつ形を変えていく。
「おはようございます」
「おはよう茉桜」
「柊弥さん、早いですね」
「今日から後期始まって、学祭もそろそろ本気モードなんだよね」
柊弥さんは、10月末にある学園祭の実行委員として最近忙しくしている。
「学祭、楽しみにしています!」
「茉桜はなに出すんだっけ?」
「フルーツ飴です!」
「茉桜可愛いからよく売れそうだな〜」
「そんなことないですよ」
「そう?俺の同級生、俺が茉桜と話してたら『あの子可愛い』って評判なんだよ」
「えっ?」
思わず変な声が出た。