気付けば、隣にいた  - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -


看板がゆっくり傾く。

危ない。

そう思った時には、もう足が動いていた。


「っ」


椅子に足を引っかけたらしい。

茉桜の体がぐらりと傾く。

看板まで倒れたら、こいつも下敷きになる。


「危な」


とっさに肩を支え、もう片方の手で看板を押さえる。

思ったより軽い。


「……え」


驚いた顔でこっちを見る。


「……想くん!」

「何やってんだ」


思わずため息が出た。


「1人で運べるかなぁと思って」

「思うな」

「あはは……ごめん」

「そそっかしい」


口を尖らせる。

反省してるのかしてないのか分からない顔だ。


「ちゃんと持ててたもん」

「最後持ててなかっただろ」

「それは……そうだけど……」


素直に認めるあたり、変なやつだ。

俺は看板を受け取る。


「貸せ」

「え?」

「運ぶ」

「でも」

「いいから。また倒れたら危ないだろ」


返事も聞かず、そのまま持ち上げる。


「どこ置く」

「あ、あっち」


前を歩く茉桜の後ろをついていく。

小さい背中。

歩幅もそんなに大きくない。

……だからだろうか。

放っておくと、危なっかしい。


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