気付けば、隣にいた  - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -


ゴールから出ると、眩しいくらいの明るさに思わず目を細めた。


「茉桜!」


奈瑠が茉桜の元に駆け寄ってくる。


「もう!心配したんだから!」

「ごめん……」

「ほんと方向音痴なんだから」

「そんなつもりじゃ……」

「ある意味才能だよね」


逸晟が笑う。


「いやー、想が迎えに行ってくれて助かったわ」

「別に」


でも、その横顔はさっきより少しだけ力が抜けていた。

無事に出てきたことに、少し安心したんだろう。


「じゃ!」


逸晟がパンッと手を叩く。


「俺ら今から休憩なんだよ!」

「そうなんですか?」

「交代制だからね。せっかくだし一緒に学祭回ろうよ!」

「え!」

「いいんですか?」

「もちろん!」

「想も行くよね?」

「……は?」

「行くよね?」

「なんで俺まで」

「せっかくじゃん!」

「面倒」

「はい決定!」

「人の話聞け」


みんなが笑う。

そのまま歩き出そうとした、その時だった。


< 130 / 196 >

この作品をシェア

pagetop