気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
その言葉に、私は何も返せなかった。
返せなかったというより。
返す言葉が見つからなかった。
「……どういうこと?」
やっとそれだけ口にすると、湊都は少し照れたように笑う。
「そのままの意味」
「もう1回やり直したい」
「俺ら、結構うまくいってたじゃん」
思わず目を瞬かせる。
……うまくいってた?
私たちが?
「あの時はさ」
湊都は気まずそうに頭をかいた。
「俺も色々あって」
「茉桜のこと嫌いになったわけじゃなかったし」
「だからさ」
「もう1回やり直せないかなって」
胸の奥が少しだけ冷たくなる。
あの日。
電話越しに一方的に別れを告げられたこと。
『好きな人ができた』
そう言われたこと。
泣きながら電話を切った夜。
全部、昨日のことみたいに思い出した。
私は小さく息を吸う。
「……湊都」
「ん?」
「どうして今なの?」
その質問に、湊都は少しだけ視線を逸らした。
「いや、その……」
珍しく言葉を選んでいる。
その様子を見て、私は静かに続きを待った。