気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
「シェアハウス?」
湊都が聞き返す。
「うん」
「へぇ」
湊都は少しだけ考えるような顔をした。
「……ってことは」
嫌な予感がした。
「そこに男もいるの?」
私は少しだけ眉をひそめる。
「…いるけど」
「何人?」
「……それ、関係ある?」
「いや、気になるじゃん」
湊都は軽く笑う。
「大学生の男女で一緒に住んでるってことでしょ?何もないわけ?」
その言い方に、小さく息をつく。
何も知らないくせに。
勝手に決めつけないでほしい。
「そういうんじゃないから」
「ほんとに?」
「うん」
「でも男なんて絶対下心あるって」
その瞬間だった。
「悪い」
聞き慣れた低い声がした。
私は思わず振り返る。
「……想くん」
少しだけ息を切らした想くんが立っていた。
いつもの無表情。
でも、その目だけはまっすぐ湊都を見ている。
「そろそろ戻るぞ」
私を見ることなく言う。
「あ……」
「模擬店、人足りてねえ」
……そんな予定あったっけ。
そう思ったけれど、想くんは一度も私を見ないまま続けた。
「あいつら待ってる」
湊都が口を開く。
「誰?」
「俺?茉桜と同じ家のやつ」
想くんは短く答えた。
その一言で、空気が少しだけ張りつめる。