気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
「何?」
階段を下りてきた想くんが、リビングの様子を見て足を止める。
「茉桜ちゃんが熱!」
希遥さんが慌てたまま答える。
想くんは私の顔を1度見て、それから静かに聞いた。
「何度」
「38.9……」
「病院は」
「保健室だけ……」
「薬は飲んだ?」
私は小さく首を横に振る。
「まだ……」
想くんは1つだけ頷いた。
「今日はもう動けないな」
「うん……」
「希遥」
「うん!」
「部屋まで連れてって」
「任せて!」
希遥さんが私の肩を支えてくれる。
「ほら茉桜ちゃん、ゆっくり行こ」
「すみません……」
「謝らなくていいの」
ゆっくりと階段を上がる。
後ろで冷蔵庫を開ける音が聞こえた。
水。
スポーツドリンク。
体温計。
必要なものを、迷うことなく揃えていく。
誰に言われるでもなく動くその姿は、どこか頼もしくて。
ぼんやりした頭の中で、私は少しだけ安心して目を閉じた。