気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
冬の帰り道
今日は1日を通して、いつもより暖かく感じる日だった。
12月とは思えないほど穏やかな陽気で、講義の合間には「今日は過ごしやすいね」なんて話していたくらいだ。
なのに――
「さっむ!」
午後5時。
大学を出た途端、思わず肩をすくめた。
講義が終わる頃から降り始めた雨のせいで、外の空気は一気に冷え込んでいる。
昼間の暖かさはどこへ行ったんだろう。
吐く息はもう白くて、頬に当たる風も痛いくらい冷たい。
「完全に服装ミスった……」
朝は暖かかったから、マフラーは家に置いてきてしまった。
こんなことなら持ってくればよかった。
私はコートの襟をぎゅっと握りしめながら、家へ向かって歩き始めた。
その時だった。
「何してんの」
「想くん!」
振り返ると、リュックを片方の肩に掛けた想くんが立っていた。
「寒そう」
「マフラー忘れちゃって」
そう言うと、想くんは一度だけ私の首元を見る。
それから、自分のマフラーへ手を掛けた。
「……俺の使え」