気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
奈瑠との会話後。
教授が教室に入ってくる。
「はい、静かにー」
教育学概論。
真剣に聞かなきゃ、理解できないから私は真面目にノートを取る。
奈瑠はちょっぴり眠そう。
平和なこの大学生活。
「それでは、今回はここで終わります」
教授の一言で、ざわつき始める講義室内。
「奈瑠ー」
「………終わったぁ?」
「今日は相当寝たね〜」
「……やったわぁ……」
講義の後半戦はちょっぴり眠そうなのではなく、がっつり寝ていた奈瑠。
あまりにも気持ちよさそうに寝るから、起こそうにも起こせず。
「今日の講義内容、教えてあげるから」
「茉桜感謝〜!」
講義室を出て、中庭に出る。
大学のラウンジは法学部と文学部の間にあるから、少し移動する必要がある。
ラウンジは食堂もコンビニも、自習スペースもあるから、学生には大人気の場所だ。
「私ちょっと飲み物買ってくる」
「私のも買ってきて!」
「いちごミルク?」
「さすが〜」
「茉桜先生に勉強教えていただくお礼に買ってきます」
「やった!」
奈瑠がコンビニに飲み物を買いに行って数分後。
「茉桜?」
「……あ!」
「空きコマ?」
「そうなんです」
「俺も。次のゼミまで時間あるから自習室」
「試験近いって昨日言ってましたもんね」
「法学部はね」
ラウンジで声をかけてきたのは講義後の柊弥さんだった。
すると、柊弥さんが少し首を傾げた。
「昨日はどうだった?」
「楽しかったです!」
これは本音。
まだ緊張もしているっていうのも本音。
でも。
「みんな優しいので」
柊弥さんは少し安心したように笑った。
「なら良かった」
またあとでね、と話をした。
またあとでね、ってちょっと変な感じ。
話したのは少しだったんだけど…
その数秒後。
「ねぇ」
振り返る。
知らない女の子が2人。
「えっと……」
「柏木先輩と知り合いなの?」
なんか、これって、あんまり良くない状況?