気付けば、隣にいた  - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -


「せーので開けよう!」

「「せーの!」」


包装紙を開く音がリビングに重なる。


「わぁ……!」


私の袋から出てきたのは、淡いベージュ色のブランケットと、優しい香りのハーブティー、それから小さな焼き菓子だった。


「かわいい……!」


思わず頬が緩む。

一方で、想くんは袋の中からタンブラーを取り出して眺めている。


「……」


無言。


「反応薄っ!」


希遥さんが思わず笑う。


「気に入らなかった?」

「いや」


想くんは小さく首を振る。


「使う」


その一言だけ。


でも、なんとなく気に入ってくれたことは伝わってきた。


「よかったぁ」


私はほっと胸をなで下ろす。


「じゃあ誰が誰?」


希遥さんが身を乗り出す。


「俺から」


柊弥さんがUSB加湿器を見ながら笑う。


「これ、想?」

「違う」

「私!」


希遥さんが勢いよく手を挙げる。


「誰でも使えると思って!」

「なるほどね。ありがとう」

「やったー!」

「じゃあ、このタンブラーは……」


想くんが手元を見ながら聞く。


「……私」


少し照れながら答える。


「学校でも家でも使えそうだなって思って」


想くんは一度タンブラーを見て、


「ありがと」


と短く言った。

それだけだった。

それだけなのに。

その一言が、なんだか少し嬉しかった。


「じゃあこのブランケットは?」


私は膝に掛けながら尋ねる。


「俺」


想くんが答える。


「え?」


思わず想くんを見る。


「風邪ひいてた人いたし」

「ちょうど風邪ひいてた人が引いたじゃん」

「風邪ひかれたら困る」


さらっと言われた言葉に、思わず目を丸くする。


「あ……ありがとう」


想くんは照れた様子もなく、


「冬だし」


とだけ付け加えた。


< 167 / 196 >

この作品をシェア

pagetop