気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
7.新しい年、変わらない朝。
午前0時
「じゃあ、行ってくるね!」
「お土産よろしくー!」
12月31日の昼。
柊弥さんと希遥さんは、それぞれ実家へ帰省した。
「茉桜ちゃんたちは良いお年を!」
「良いお年を!」
玄関の扉が閉まり、家の中が急に静かになる。
「……」
「……」
リビングには私と想くん、2人だけ。
「静かだね」
「いつもが騒がしいだけ」
「確かに」
思わず笑ってしまう。
夕飯は2人で鍋を囲み、大晦日の特番をぼんやり眺める。
芸人さんのやり取りに笑ったり、歌番組で懐かしい曲が流れたり。
特別なことは何もない。
でも、それが心地よかった。
時計の針が23時50分を指した頃。
窓の外からは、どこかの神社の鐘の音がかすかに聞こえてきた。
私は湯呑みを両手で包みながら、小さく息を吐く。
「もう今年終わるんだね」
「早かったな」
「うん」
この家に引っ越してきたのは春。
あの頃は、みんなとこんなふうに笑って年越しを迎えるなんて思ってもいなかった。
「……なあ」
不意に、想くんがテレビから視線を外した。
「初詣でも行くか」