気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
大きなキャリーケースを引きながら、私は目の前の建物を見上げる。
《 桜ノ木ハウス 》
木目調の看板には、そう書かれていた。
ここが、今日から私が住む家。
シェアハウスだ。
引っ越しが急遽決まり、学生課に相談したところ、このシェアハウスを紹介された。
迷う暇もなく、ここに住むことを決断。
大学から徒歩12分。
木造二階建て。
「ふぅ…」
小さく息を吐く。
家族以外の人と生活をするのは、初めてで。
どんな人がいるかも知らなくて。
不安な気持ちでドキドキしっぱなしだった。
学生課の人いわく、私と同じ大学の先輩が2人と同級生が1人、住んでいるらしい。
「どんな人たちがいるんだろう…」
ちゃんと馴染めるかな。
上手くいかなかったらどうしよう。
でも、立ち止まってばかりいられない。
「よし!」
私は不安を押し込めるように小さく笑って、桜ノ木ハウスの玄関へ一歩踏み出した。