気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
公園を出ると、夕方の風が少し冷たくなっていた。
「寒くない?」
「大丈夫」
そう答えたけれど。
想くんは少しだけ眉を寄せる。
「無理するなよ」
「してないよ」
「茉桜、そう言う時だいたい無理してる」
「……」
返す言葉がなくて黙る。
すると想くんが小さく笑った。
「やっぱり」
「今、笑った?」
「笑ってない」
「笑ったよ」
「気のせい」
「最近、想くん表情増えたよね」
そう言うと、想くんは少しだけ黙った。
「……茉桜が」
「え?」
「茉桜がそう言うからじゃない」
「?」
「見るようになっただけ」
その言葉の意味が分からず、首を傾げる。
想くんは前を向いたまま続けた。
「前は」
「誰が何考えてるとか、そんな気にしてなかった」
「でも」
少し間が空く。
「茉桜のことは気になる」
胸が跳ねる。
でも想くんはそれ以上言わなかった。
「帰るぞ」
いつもの声。
いつもの歩幅。
なのに。
隣を歩くだけで、昨日までとは違う気がした。