気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
「……私も」
声が震える。
「私も、想くんのこと」
一度息を吸う。
「好き」
言った瞬間。
想くんの表情が少し変わった。
驚いたような、安心したような。
「……本当に?」
「はい」
「後悔しない?」
「しません」
すると。
ほんの少しだけ想くんが笑った。
「……そっか」
それだけなのに。
今まで見たどんな表情より嬉しかった。
「帰ろう」
「うん」
並んで歩く。
今までと同じ道。
同じ家。
でも何かが変わった。
桜ノ木ハウスの扉を開ける。
「ただいま」
いつもの言葉。
でも今日は、少しだけ違う。
「おかえりー!」
リビングから希遥さんの声が飛ぶ。
「……あれ?」
希遥さんが私たちを見る。
「なんか」
隣に立つ私と想くんを交互に見る。
「距離近くない?」
「え?」
思わず慌てる。
柊弥さんもソファから顔を上げる。
そして少しだけ笑った。
「……もしかして」
「やっと?」
「え!?」
希遥さんが目を丸くする。
「え、え、え!?」
「本当に!?」
顔が一気に熱くなる。
想くんを見ると。
「……」
少しだけ困った顔。
でも。
逃げなかった。
「うん」
短い返事。
それだけで。
2人には十分だった。
「やったー!」
希遥さんの声がリビングに響く。
桜ノ木ハウスに。
新しい春が来た。