気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
朝食。
「いただきまーす!」
食卓には、トースト。
目玉焼き。
サラダ。
そして、真っ黒のトースト。
「……あ」
焦げた。
どうやら私はパンを上手く焼くことができないみたいだ。
前の家でも朝から焦げ臭い匂いをよく嗅いでいた気がする。
「また?」
希遥さん。
「またか」
想くん。
「またなの?」
柊弥さん。
全員に見られる。
「ち、違うの!」
「何が」
「今日はちょっと考え事してて!」
「昨日も言ってた」
「言ってない!」
「言ってた」
「言ってない!!」
柊弥さんが笑う。
希遥さんも笑ってる。
想くんだけ、コーヒーを飲みながら、少しだけ呆れた顔。
「トースターにパン入れて考え事するな」
「する時あるでしょ!」
「ない」
「ある!」
「ない」
「ある!!」
朝から言い合い。
「仲良いねぇ」
柊弥さんがぼそっと言う。
「よくない!」
「良くない」
声が重なった。
数秒。
「真似しないで」
「そっちこそ」
「えぇ……」
また始まった。
希遥さんが笑いながら、ヨーグルトを食べている。
私はまだ知らない。
この朝が、これから何度も繰り返されること。
騒がしくて、ちょっとムカついて。
でも。
嫌いじゃない毎日になることを。