気付けば、隣にいた  - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -


朝食。


「いただきまーす!」


食卓には、トースト。

目玉焼き。

サラダ。

そして、真っ黒のトースト。


「……あ」


焦げた。

どうやら私はパンを上手く焼くことができないみたいだ。

前の家でも朝から焦げ臭い匂いをよく嗅いでいた気がする。


「また?」


希遥さん。


「またか」


想くん。


「またなの?」


柊弥さん。

全員に見られる。


「ち、違うの!」

「何が」

「今日はちょっと考え事してて!」

「昨日も言ってた」

「言ってない!」

「言ってた」

「言ってない!!」


柊弥さんが笑う。

希遥さんも笑ってる。

想くんだけ、コーヒーを飲みながら、少しだけ呆れた顔。


「トースターにパン入れて考え事するな」

「する時あるでしょ!」

「ない」

「ある!」

「ない」

「ある!!」


朝から言い合い。


「仲良いねぇ」


柊弥さんがぼそっと言う。


「よくない!」

「良くない」


声が重なった。

数秒。


「真似しないで」

「そっちこそ」

「えぇ……」


また始まった。

希遥さんが笑いながら、ヨーグルトを食べている。

私はまだ知らない。

この朝が、これから何度も繰り返されること。

騒がしくて、ちょっとムカついて。

でも。

嫌いじゃない毎日になることを。


< 28 / 196 >

この作品をシェア

pagetop