気付けば、隣にいた  - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -



「想くん、本当に知らない?」

「知らん」

「昨日冷蔵庫開けた?」

「開けた」

「怪しい!!」

「なんでだよ」

「犯人ってこういう時、冷静なんだよ」

「偏見」


もはや推理まできている。

迷宮入りかと思われたその時、想くんがふとダイニングテーブルの上を見る。


「……なあ」

「なに!?」

「これ」


そこには。

コンビニのレシート。




【特大!なめらか濃厚プリン ¥398】




その下。


《20:54》


想くんがレシートの日付を指差す。


「昨日の夜」

「あ」


希遥さん、固まった。


「なあ」


想くんが希遥さんを見る。


「昨日の夜って」

「…………」

「お前、食ってたよな?」


数秒。

希遥さん、頭を抱える。


「……食べたわ」

「食べてんじゃん!!」

「食ってんじゃん!」


私と想くんの声が揃った。


「だってバイト終わって疲れてて!」

「美味しくて!」

「幸せで!」

「……」

「幸せのまま忘れてた!!!」




「最悪」


想くん。


「最悪ですね」


私。


「2人して冷たくない!?」


希遥さんが叫んだその瞬間。

ガチャ。

玄関の扉が開く音。


「ただいまー」


帰ってきた柊弥さんが、リビングの空気を見て首を傾げる。

「なんかあった?」

「希遥が」


想くん。


「自分で食べたプリンを」


私。


「俺のせいにした」


想くん。


「してない!!」

「してた」

「してない!!!」

「……平和だね」

数秒沈黙してから、柊弥さんがそう言って笑った。

原因の半分くらい、柊弥さんがいなかったからだと思う。

でも。

桜ノ木ハウスは、今日もたしかに平和だった。



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