気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
柊弥さんは、昔から有名だった。
頭が良くて、優しくて、かっこよくて。
話をすれば、うんうん、ってじっくり聞いてくれて、相談すれば親身になってくれる。
本当は、別の大学を受けようと思ってた。
でも、柊弥さんが通っている今の大学を知って、『柊弥さんみたいになれたらいいな』って思った。
それが、この大学を選んだ理由の1つ。
……まあ、本人には恥ずかしくて言ってないけど。
半年前。
湊都と別れた時も、柊弥さんはずっと話を聞いてくれた。
夜中でも電話に出てくれて、『茉桜は頑張ったよ』って言ってくれた。
責めないで、急かさないで、ただ隣にいてくれる。
その時の私には、それが本当に安心できて。
だから私は、柊弥さんを見ると安心する。
好きかって聞かれたら、多分好きなんだと思う。
でもそれはきっと、ドキドキする恋とは少し違う。
“この人の隣は安全だ”って思えるような、そんな気持ちだった。