気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
お風呂上がり。
飲み物を飲もうと思って、リビングに立ち寄る。
想くんはまだ課題をしていた。
パソコンの画面には、図面みたいなものが映っている。
「まだやってるんだ」
「ん」
返事は短い。
でも、無視はされない。
最初の頃なら、話しかけても今よりもっと素っ気なかった気がする。
想くん、自室もあるのに、よくリビングで課題をしている。
前に理由を聞いたことがある。
『部屋だと寝る』
だったかな。
『人の気配がある方が集中できる』
だったかな。
どっちだったか忘れちゃったけど。
人と関わるの、苦手そうなのに。
意外と、1人きりが好きなわけじゃないのかもしれない。
冷蔵庫から麦茶を取り出す。
コップに注いでいると、ふとカレンダーが目に入った。
「あ」
もうすぐ5月。
「ゴールデンウィークだ」
思わず口にすると、
「帰るの?」
想くんが言った。
「え?」
「実家」
パソコンから目を離さないまま。
「うん、帰るよ!」
「何日くらい?」
「3泊4日くらいかなぁ」
横浜の実家。
お母さんのご飯。
久しぶりに会う地元の友達。
考えただけでちょっと楽しみ。
「想くんは?」
何気なく聞いた。
すると。
「帰んない」
少し間を置いて、想くんはそう言った。