気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
「そういえば、茉桜のシェアハウスどうなの?」
依緒が聞いてくる。
「え?」
「奈瑠からちょっと聞いた」
「イケメン先輩と住んでるんでしょ?」
「そうそう、柏木柊弥!」
「え、ずるくない!?」
「ずるくないよ!」
「しかも他にも男の子いるんでしょ?」
……いた。
なんか感じ悪い人。
思い浮かべて、少し顔をしかめる。
「どうした?」
「いや」
「嫌いなタイプ?」
うーん。
嫌い……?ではない。
「なんか」
「感じ悪い」
「冷たい」
「口悪い」
「でも」
「……たまに優しい」
言った瞬間、3人がにやぁ……って顔をした。
「なにその顔」
「茉桜が男の話してる」
「しかもツンデレ系」
「絶対好きになるやつ」
「ならない!!」
即答。
すると奈瑠が、ストローをくるくる回しながら笑う。
「でもさ」
「茉桜、前より元気そう」
「え?」
「去年までずっと、無理して笑ってる感じだったじゃん」
京夏。
「今は普通に楽しそう」
依緒。
私は少しだけ黙る。
楽しい?
そうかもしれない。
毎日騒がしくて。
希遥さんは自由だし。
柊弥さんは優しいし。
想くんは感じ悪いし。
でも帰ったら、誰かがいる。
それって思っていたより、ずっと幸せなことなのかもしれない。
「……うん」
私は笑った。
「今、結構楽しいよ」