気付けば、隣にいた  - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -


ランチをして、ショッピングをして。

カラオケで高校時代に流行った曲を歌って。

気付けば、もう夜10時。


「楽しかった〜!」

「今度は夏休み!」

「絶対ね!」


4人で約束をして、横浜駅で解散した。

京夏と依緒は新幹線。

奈瑠と私は別の電車。


「じゃあまた大学でね」

「うん!」


奈瑠が電車に乗り込む。

ドアが閉まって、ホームに残ったのは私1人。

夜の駅。

電車を待つ人たち。

少し冷たい風。


今日はいっぱい笑った。

京夏の恋バナ。

依緒の大学の話。

奈瑠の相変わらずな寝坊癖。

楽しかったな〜。


ふと、スマホを見る。

家族のグループLINE。

それから、桜ノ木ハウスのグループ。

希遥さんが送った、犬の変なスタンプ。

『何これ』って想くんが返してる。

思わず笑う。


……今頃、みんな何してるんだろ。

そんなことを考えていた時。


「……茉桜?」


突然、後ろから名前を呼ばれた。

聞き覚えのある声。

心臓がどくん、と鳴る。


「茉桜だよね?」


ゆっくり振り返る。

そこにいたのは…。

少し伸びた髪、見慣れた横顔。


久世 湊都だった。


「……久しぶり」


頭の中が、一瞬で真っ白になった。

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