気付けば、隣にいた  - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
3.誰かと暮らす、ということ。

洗濯日和




朝、カーテンを開けた瞬間、思わず声が漏れた。


「わぁ……!」


雲ひとつない青空。

窓を開けると、少しだけひんやりした風が部屋に入り込んできた。


ゴールデンウィークが終わって数日。

春と初夏の間みたいな、気持ちのいい朝だ。

こういう日は、洗濯に限る。

私はベッドから飛び起きると、シーツを剥がして、枕カバーを外して、洗濯かごにぽいぽい放り込んでいく。

ついでに部屋着も。

昨日着ていたパーカーも。

洗えるものは全部洗いたい気分。


「よし、やるぞ!」


両手いっぱいの洗濯物を抱えて、1階へ降りる。

……と。


「あ」


洗濯機の前に、先客がいた。

想くん。

黒いTシャツにスウェット姿。

後ろ髪は寝癖が付いていてピョンピョンはねている。

片手に洗剤、もう片手に柔軟剤。

真剣な顔で、洗濯表示を見ている。

なんか……、研究してるみたい。

私に気付いた想くんが、ちらっとこっちを見る。


「おはよ」

「……おはよう」


それから、私の抱えている洗濯物を見て、少し眉をひそめた。


「…量多くね?」

「天気いいから!」

「洗いすぎ」

「こういう日に洗わないと損した気分になるの」

「意味分かんない」


そう言いながらも、想くんは洗濯機の残り時間を確認して、


「あと15分」


と言った。


「え?」

「俺の終わったら使えば」

「あ、ありがとう」


意外。

そう思ったけれど、口には出さない。

洗濯機に腰掛けて、ぼーっと窓の外を見る想くん。

静かな朝。

洗剤の匂いと、窓から入る風。

洗濯日和って、なんだかちょっと幸せだ。


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