気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
「なんでそうなんだよ」
「だって、洗濯教えてくれるし」
「茉桜ができなさすぎるだけ」
「失礼!」
私が抗議すると、想くんは呆れたように肩をすくめる。
それから、少しだけ間を置いて。
「俺、兄弟いないし」
と言った。
「え、そうなの?」
なんとなく、弟か妹がいて、面倒くさがりながらも世話を焼いてそうなイメージだった。
「一人っ子」
それだけ。
いつもみたいに、ぶっきらぼう。
でも。
なんとなく。
これ以上聞いちゃいけない気がした。
だから私は、
「じゃあ才能か」
と言う。
「何の」
「面倒見の良さ」
「ない」
「ある」
「ない」
「ある!」
子どもみたいな言い合い。
「ちなみにわたしはこんなんだけど弟いるよ?」
「弟?」
「うん、7歳下の」
「へ〜」
「シェアハウス見たいって言ってたから、いつか遊びに来るかも」
「なんか、似てそう」
「え?」
「弟と似てそう、茉桜」
「似てるのかなぁ、………え?」
その時。
ピピピッ。
洗濯機が軽快な音を鳴らした。
いや、そんなの今はどうでもよくて。
今の想くんの発言に違和感を感じたけど、そうだ。
想くんに「茉桜」と名前で呼ばれたのは、今のが初めてかもしれない。