気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
茉桜の反応は、いつも大げさだ。
笑う時は声が大きいし、驚く時は本当に飛び跳ねる。
困った顔も、嬉しそうな顔も、全部分かりやすい。
俺とは全然違う。
今まで、あまり関わってこなかったタイプ。
正直、最初は苦手かもしれないと思っていた。
うるさいし、危なっかしいし、何でも声に出すし。
でも、気付くと、「また何かやってないか」って目で追っている自分がいる。
「でも貸してくれるなんて優しい〜」
「違う」
「面倒見いい〜」
「違う」
違う。
……はずなんだけど。
風が吹く。
隣で、
「洗剤足りない!」
と騒いでいる茉桜。
「棚の上」
ストックの位置を教えると、嬉しそうに詰め替えている。
昨日までの俺なら、きっと部屋に戻っていた。
今日は、まだここにいる。
それがなんでなのか、俺はまだ、よく分かっていなかった。