気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
シーツと毛布を干しに、1階のテラスへ向かう茉桜。
俺は、その後ろを歩く。
飲み物が飲みたくなった。
今日は少し蒸し暑い。
5月でこんなに暑くて、夏はやっていけるのか心配になる。
冷蔵庫からアイスコーヒーを取り出す。
この気温じゃ、ホットコーヒーは飲みたくない。
キッチンからテラスが見える。
シーツを干すのに、どうやら苦戦しているらしい。
両手をいっぱいに伸ばして、背伸びまでして。
それでも物干し竿にうまく掛けられないみたいだ。
何回か挑戦して、失敗して、また挑戦している。
……危なっかしい。
見ているだけで不安になる。
というか、なんであんな大物を1人で干そうとしてるんだ。
誰か呼べばいいだろ。
そう思うのに、多分、あいつは呼ばない。
変なところで頑張るから。
「あっ」
案の定。
シーツが片方だけ落ちる。
慌てて拾い上げて、もう1回。
それでも届かない。
……。
アイスコーヒーを1口飲む。
別に、手伝う必要はない。
ないんだけど。
あのまま見てると、いつまで経っても終わらなさそうだ。
それに、後で「干せませんでした」なんて言われても面倒くさい。
俺はため息をつく。
コップをシンクに置いた。
仕方ない、1回だけ。
そう思ってテラスへ向かおうとした、その時。
玄関の扉が開く音が聞こえた。