気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
「ほら、やっぱり家と一緒」
「当たり前だろ」
「いやいや」
逸晟くんが笑う。
「想、けっこう変わったぞ?」
「は?」
想くんが嫌そうな顔をする。
「大学入ったばっかの頃なんてもっと酷かったし」
「余計なこと言うな」
「だって本当じゃん」
逸晟くんは楽しそうに続ける。
「最初の頃とかさ、俺が話しかけても『ふーん』とか『別に』とかしか返ってこなかったもん」
「今もそんな変わらなくない?」
「今はまだマシ!」
断言された。
「グループワークとか地獄だったからな〜」
「逸晟」
「はいはい」
想くんの声が少し低くなる。
それ以上は話すな、ということなんだろう。
逸晟くんも分かっているみたいで、肩をすくめた。
でも、少し意外だった。
想くんは最初からこういう人なんだと思っていた。
無愛想で人と距離を取っていて。
それが当たり前なんだと。
だけど変わった、ということは。
今の想くんは、前の想くんとは少し違うということだ。
どんな人だったんだろう。
そう思ったけれど、聞くのはやめた。
今はまだ、聞かない方がいい気がした。