気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
「あ」
逸晟くんだった。
大きく手を振る逸晟くんは、相変わらず人混みの中でも目立つ。
その隣には、
「……」
想くん。
なんでそんな嫌そうな顔をしているんだろう。
「何してるんですか?」
「講義終わったから学食行こうと思って!」
「2人で?」
「いや?」
逸晟くんが後ろを指差す。
そこには数人の男子学生。
建築学科の友達だろうか。
みんな楽しそうに話していた。
「想、お前また女子に話しかけられてたじゃん」
「見た見た」
「モテ男は大変だな〜」
「そんなんじゃねえって」
想くんは露骨に嫌そうな顔をする。
「へぇ」
思わず声が漏れた。
「何」
想くんがこちらを見る。
「想くんも人気者なんだなって」
一瞬。
周りが静かになる。
「茉桜ちゃん、違う違う」
逸晟くんが笑った。
「人気はある。でも本人にその自覚がない」
「いらない。むしろ面倒」
「もったいな〜」
逸晟くんが肩をすくめる。