気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
4.ひとりじゃない、夏。
楽しみができた日
気付けば梅雨は明けていた。
窓の外では蝉が鳴いていて、強い日差しがアスファルトを照らしている。
季節はすっかり夏。
桜ノ木ハウスのみんなは、相変わらずの日常を過ごしている。
柊弥さんは7月のはじめに就職活動を終えた。
進路は東京都庁。
来年の入庁を見据えて、八月の初旬まではインターンシップに参加しているらしい。
希遥さんはというと、大学の試験が終わったから夏休み、かと思いきや、そうでもなかった。
秋に出場するコンテストがあるらしく、その作品制作のために毎日のように大学へ通っている。
想くんも似たようなものだ。
自主的に模型を作ったり、「今日は〇〇見てくる」と言って有名な建築物を見に行ったり。
夏休みになっても、なんだかんだ建築漬けの日々を送っている。
みんな、それぞれやることがある。
目標がある。
じゃあ私はというと――。
「暇ぁ……」
リビングのソファに転がったまま天井を見上げる。
前期試験は無事終了。
落とした単位はゼロ。
しかも半分以上が優だった。
それは本当に嬉しかった。
頑張った甲斐があったと思う。
でも。
「燃え尽きた……」
目標がなくなった途端、やる気までどこかへ消えてしまった。
夏休みだから何かしたい。
新しいことを始めたい。
そう思うのに、肝心の「何か」が見つからない。
気付けば今日も、こうしてソファと仲良くしている。