気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
玄関の扉を開ける。
「ただいまー!」
「お邪魔します」
茉尋の少し緊張した声が響く。
すると、すぐにリビングから元気な声が返ってきた。
「来たーー!」
希遥さんだった。
ぱたぱたと玄関まで駆け寄ってくる。
「弟くん!」
「は、初めまして」
「こんにちは!」
「真田 茉尋です」
「西條 希遥です!」
希遥さんは楽しそうに笑う。
その後ろから、柊弥さんも荷物を持って家に入る。
「とりあえず上がって上がって」
「ありがとうございます」
茉尋は少し緊張しながら靴を脱いだ。
リビングへ入ると、
「おぉ……」
思わず声を漏らす。
「写真で見るより広い」
「でしょ?」
「いいなぁ」
きょろきょろと部屋を見回す茉尋。
ソファ。
ダイニングテーブル。
大きなテレビ。
窓から見えるテラス。
全部が珍しいらしい。
「姉ちゃん、ここでテレビ見てるの?」
「見るよ」
「ここでご飯?」
「うん」
「すげぇ」
その反応がなんだか面白くて、私は笑ってしまう。
すると茉尋が辺りを見回した。
「…あれ?」
「ん?」
「想くんは?」
その名前が出た瞬間、希遥さんが笑う。
「あー、想?」
「ちょっと出掛けてる」
「そうなんですか」
「もうすぐ帰ってくると思うよ」
そう言われても、茉尋は少し落ち着かない様子だった。
私から何度も話を聞いていたからだろう。
どんな人なんだろう。
そんな顔をしている。