気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
思わず顔を上げる。
「なんで分かったの?」
「姉ちゃん、昔からいちご好きじゃん」
当たり前みたいに言われて、少し照れくさくなった。
最近は思春期らしく素っ気ない態度ばかりだけど、ちゃんと覚えていてくれているんだ。
なんだか、それだけで嬉しい。
「じゃあ俺はオレンジ!」
柊弥さんもアイスを手に取り、私たち3人は先にリビングへ向かった。
後ろではまだ、冷蔵庫の前で何やら揉めている。
「……っていうか、バニラ2つあるぞ」
「……は?」
希遥さんが固まる。
「先に言ってよ!」
「人気だと思って黙ってた」
「何その性格悪いサプライズ!」
「感謝しろよ」
「どこに感謝するとこあるの!?」
「バニラを2つ買ってきたこと」
「自分で言う!?」
リビングまで聞こえてくるやり取りに、私は吹き出した。
隣を見ると、茉尋も肩を震わせながら笑っている。
「……毎日こんな感じ?」
「うん」
私は笑いながら頷いた。
「だいたい毎日、こんな感じ。」
茉尋はもう一度、リビングを見渡した。
笑い声。
テレビの音。
アイスを片手に話すみんな。
「……いいな」
その小さな一言に、私は少しだけ照れくさくなって笑った。