気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
22時半。
「おやすみー」
「おやすみなさい」
それぞれが自分の部屋へ戻り、さっきまで賑やかだったリビングは静かになった。
私は茉尋と一緒に2階の自室へ向かう。
今日は茉尋が泊まるから、ベッドは私、茉尋は布団。
部屋の電気を少し暗くすると、1日が終わる安心感がふわっと広がった。
「茉尋疲れた?」
荷物を広げながら聞く。
「さすがにちょっと疲れた」
「そうだよね」
「東京駅だけで人多いし。家でも初対面ばっかりだったし。」
「だよね」
初めて会う人が3人。
それも1つ屋根の下で過ごすなんて、中学生にはなかなか緊張する1日だったと思う。
「でも」
茉尋は天井を見上げたまま言う。
「楽しかった」
私は少し笑う。
「よかった」
少し間が空く。
窓の外では、夏の虫の声が聞こえていた。
「希遥さん、本当にあんな人なんだね」
「うん」
「ずっと喋ってる」
「うん」
「想くんも」
「怖かった?」
そう聞くと、茉尋は少し考えてから首を横に振った。
「思ってたより普通」
「でしょ?」
「口はちょっと悪いけど。」
「そこは否定できない」
2人で笑う。
「でもさ」
茉尋はゆっくり言葉を続けた。