気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
「早く選べ」
「はーい!」
残っていたのは、クッキー&クリーム、チョコミント、キャラメル、抹茶、ほうじ茶の5種類。
「私これ!」
希遥さんが迷わずクッキー&クリームを手に取る。
「じゃあ俺、抹茶」
柊弥さんが続く。
「茉尋は?」
「……キャラメル」
「私はほうじ茶にしようかな」
最後に残ったチョコミントを見て、みんなの視線が想くんに集まる。
「……何」
「想くん、それでいいの?」
「別に」
「チョコミント好きなんですか?」
「嫌いじゃない」
それだけ言って蓋を開ける。
「想らしいね」
柊弥さんが笑う。
懐中電灯をテーブルの真ん中に置く。
その小さな明かりだけを囲むように、みんなでアイスを頬張った。
「おいしい〜!」
希遥さんが幸せそうに目を細める。
「停電中に食べるアイスって、なんか特別ですね」
私がそう言うと、
「キャンプみたい」
茉尋が笑った。
確かにそうかもしれない。
外では相変わらず雨が降り続き、時折雷も鳴っている。
家の中はまだ暗いまま。
それなのに、不思議とさっきまでの心細さはなかった。
冷たいアイスを食べながら、他愛もない話をして笑い合う。
たとえ電気がなくても、この家にはちゃんと明かりがある。
そんな気がした。