ハートのラテアートは勘違いじゃなかったらしい。



無機質なオフィス街の中で、
彼だけが、やわらかな色をまとっているようだ。

気の合う同僚とは、取引先のイケメン営業や、
行きつけの店長が渋いという話でたまに盛り上がる。

でも、彼の話はしたことがない。

軽い話題に混ぜるのは、なんとなく違う気がするし、
自分の中だけで大事にしておきたい。

それでも、これは彼に対する好意じゃない。

癒されているだけ。

(推し、って言うのかも?)

あれこれ考えながら会社に戻る途中、年配の男性に話しかけられた。
道に迷ってしまったらしい。

どちらかと言うと、私も迷子になりやすいタイプなのだけど。

知ってる場所だったので、
あちこち指で方向を差しながら道順を説明する。

なぜか、昔からよく、人に道を尋ねられる。

でも、ナンパ目的で声を掛けられたことは無い。

男性の背中を見送りながら、
コーヒーショップの彼だったら、女性からナンパされそうと思った。

同僚が彼を見つけて騒ぎ出すのも、時間の問題かもしれない。

そう思うと、少しモヤッとしてしまった。

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