ハートのラテアートは勘違いじゃなかったらしい。



今日も、同僚とランチした後に一人で店に入る。

珍しく時間に余裕があったので、
たまには店内でゆっくりしようと思った。

視線が自然とカウンターを探す。

不自然にならないように気をつけてるつもりだけど。
きょろきょろと店内を見渡す私は、
端から見れば落ち着きがないかもしれない。

そして――

「いらっしゃいませ」

見つけるよりも先に、彼の声が届いた。

思わず、胸がくすぐったくなる。

目が合って彼が微笑むと、そのままカウンターの奥に引っ込む。

その背中を、なんとなく目で追ってしまう自分に苦笑した。

「ラテお願い」と、先輩らしき店員が声をかける。

「はい」

軽く返事をして、彼がミルクをスチームする。

(カフェラテ、作るようになったんだ)

なんとなく気になって、今日は気分を変えてみることにした。

「店内で……カフェラテ、お願いします」

「かしこまりました」

店員がオーダーを入れると、彼は一瞬こっちを向いた。

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