パーフェクト・ネイル ~憧れの上司に狙われている、かもしれません~
 椛は手フェチでも爪フェチでもない。そもそも人体の一部のみに魅力を感じる、特定のパーツだけを好む、という感覚すらわからないのだが、それでも遠坂のいうように、手フェチと爪フェチがなんとなく違うのはわかる気がする。

 ――それはそうとしても。

「マニアックですね」
「なに引いてんだよ。自分から聞いてきたくせに」
「すみません、予想外だったもので」

 遠坂がムッとしたように腕を組んで唇を尖らせるが、声や態度が示すほどの怒りや落胆は感じられない。それどころか、彼の表情には楽しみが滲んでいる節すらある。

 だから椛も己の好奇心に任せて、もう少しだけ彼の性癖について掘り下げてみることにした。

「どういうネイルが好きなんですか? 色とか、形とか、パーツのせてるとか?」

 一口に『ネイル』と言っても種類は様々だ。一般には塗料を塗って乾かす『ネイルカラー』や、塗料を含む樹脂を光で硬化させる『ジェルネイル』が主流だが、それ以外にも『ネイルチップ』や『ネイルシール』、『スカルプチュア』なんてものもある。
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