私のかみさま(改訂版)
――トントン



もう一度、夢の中に逃げ込もうとしたけど
そんなのは許さないと言わんばかりに
響いた音に、びくりと体が跳ねる。



「……佐奈(さな)」



控えめなノック音の後
間を置いて聞こえたのは
今にも消えてしまいそうな、か細い女性の声。



「佐奈。お母さん、仕事に行くから
ご飯…ちゃんと食べなさいね」



その声の主は、私のお母さん。


扉越しに聞こえる
自信なさげな、疲れたような声。


そうさせてしまったのは私。



「…」



毎日、懸命に声をかけてくれるのに
私は、申し訳なさや、情けなさから
言葉を返せずにいた。



………ごめんなさい。


ごめんなさい。ごめんなさい。



去っていく軽い足音。
耳を塞ぎながら、心の中で何度も謝罪する。



………弱くて……………ごめんなさい。



声を押し殺して、ひたすら泣いた。
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