私のかみさま(改訂版)
「……崖(がけ)」



暗闇に浮かぶ、山々や
ところどころ明かりが灯っている
小さな町並みを眺めていると

社の背後が、崖になっていることに気づいて


そっと、崖下を覗き込む。



暗くて、底が見えない。



「…」



……ここから落ちたら




―――死ねるだろうか。




魔が差したように
そんな思いが、頭を過(よぎ)る。




死んでしまえば、もう何も考えなくて済む。

過去を悔やむことも、未来に怯えることも
今に絶望することもない。

楽になれる。



「…」



一歩、前に足を進める。



―かつん



拍子で僅かに、足元の土が崩れて
その欠片(かけら)が崖下に落ちていく。



「…」



もう一歩進めば、私も『そう』なる。



…後、一歩。









後ろに下がる。



「…弱虫」



すんでのところで、恐怖が勝って
身を引いた自分に
崖下を見つめたまま、ため息をこぼす。


しばらく底に広がる闇を眺めて
それから、山を下りた。
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