尊い推し兄弟に愛されてます!?
「村瀬さん、玲央くんのネクタイ直してみて!」
「ええっ!?」
突然の指示に固まる。
でもスタッフさんたちは完全に乗り気だ。
「自然な感じで!」
「幼なじみ感ほしい!」
私は恐る恐る玲央くんへ手を伸ばした。
近いよーっ息がかかるよーっ。
ビジュ良すぎて直視できません……。
指先が少し震える。
すると玲央くんが、ふっと笑った。
「お前、手冷た」
「えっごめんっ……」
またシャッター音が響く。
その様子を、少し離れた場所から莉子ちゃんが静かに見つめていた。
そして、編集長さんのモニターに映る写真を見て、小さく息を呑む。
そこには……莉子ちゃんといる時よりも、ずっと自然に笑っている玲央くんの姿が映っていた。
「玲央ってこんな顔するの……?」
莉子ちゃんが、小さく呟く。
その目だけは、笑っていなくて。
「あー、や、やっぱ幼なじみに見せる顔って違うんだね!」
カメラマンさんが莉子ちゃんに笑いかけるけど、莉子ちゃんは真顔のまま。
「すいません。ちょっと体調悪いから車に戻ってます」
突然そう言うと踵を返した。
「え!?莉子ちゃん!?まだまだ残ってるんだけどっ」
「それ、村瀬さんでもいいんじゃないですか?」
編集長さんに背を向けたままそう言い、すたすたと歩いて行ってしまった。