尊い推し兄弟に愛されてます!?

真面目な顔をして言う佐伯くんのことを、私は目をぱちぱちさせて見ていたかもしれない。


「え?」

「だってあんなに距離近いとかさ……」


佐伯くんが俯きながら、ため息を漏らした。

それを見ていた美月が、密かに笑っていて。

私はどう反応したらいいのか、戸惑った。

そして同時に、胸が少しだけ痛んだ。

前なら、推しと撮影できてラッキーだったな。

それだけだったのに今は違う。

玲央くんのことを考えるだけで、落ち着かなくなる。


話し合いが終わったあと。

私は何気なくスマホを開いた。

おすすめに流れてきたのは、今日発売された雑誌の記事。

コメント欄には。

『玲央くんと莉子ちゃんお似合い!』

『付き合ってても驚かない』

『この二人最高すぎる』

そんな言葉が並んでいた。

胸がちくりと痛む。

私はそっと画面を閉じた。

……見なきゃよかったな。

自分の気持ちに気付いてから、辛い事の方が多い。

〝推し〟として見ていた時は楽しかったのに。

恋ってしんどいんだなぁ……。

思わずため息が漏れた。



< 57 / 124 >

この作品をシェア

pagetop