尊い推し兄弟に愛されてます!?
「あのっ……ごめんね、ゆずくん……私でしゃばったことを……」
「……ううん。ちょっとあっちで話さない?」
ゆずくんはそれしか言わなかった。
そして、近くの小さな公園で足が止まる。
夕方の空はオレンジ色に染まり、遊具の影が長く伸びている。
ベンチに並んで座るけれど、どちらもなかなか口を開かなかった。
さっきのことが頭から離れない。
あんな話を聞いてしまった私ですらこんなに苦しいのに。
ゆずくんはもっと傷ついているはずだ。
しばらくして、ゆずくんがぽつりと呟いた。
「そうかなって思ってたんだけどね」
「え?」
私は顔を上げる。
ゆずくんは空を見上げたまま笑った。
「兄ちゃん目当てだったこと、今までも何度もあったから」
「……」
「最近やたらと兄ちゃんの事聞いてきてたし」
胸がぎゅっと痛くなる。
「なんで……」
思わず聞いてしまった。
「なんでそんな人と……」
ゆずくんは少し考えてから笑う。
「あんな人でもさ、一回でも俺の方がいいって言ってくれたから」
その一言に、言葉を失った。
「昔からそうなんだよね」
風が吹いて、ゆずくんの前髪が揺れた。