友達のまま
第4話:雨のロビー、壊れかけた境界線
バチバチバチ、と窓ガラスを激しく叩く音が、静かな駅のロータリーに響き渡っていた。
「うわ、マジか。一気に降ってきたな……」
隣に立つ翼が、濡れた前髪を無造作に掻き上げながら、薄暗い空を見上げて溜息をつく。
天気予報の言う通り、放課後の帰り道を狙ったかのような、突然のゲリラ豪雨。
私たちは傘を持っていなくて、駅の小さな待合ロビーに逃げ込むのが精一杯だった。
夕方のロビーは、同じように足止めを喰らった学生や会社員で溢れかえっていて、座る場所なんてどこにもない。
「アミ、こっち。人が来るから、もっと寄れ」
翼が私の肩を優しく引き寄せ、自分の体と自販機の狭い隙間に私を滑り込ませた。
背後から押し寄せる人の波から守るように、翼が私の目の前に両手を突いて、小さなシェルターを作ってくれる。
途端に、2人の距離が、お互いの吐息が触れ合うくらいに近くなった。
(……近すぎるよ、翼)
雨に濡れた翼のシャツから、ほんのりと夏特有の熱気と、彼の甘い香りが立ち上って、私の心臓はうるさいくらいに暴れ始める。
湿った空気のせいで、ロビーの中はひどく蒸し暑いのに、私の指先だけは冷たく震えていた。
ふと見上げると、翼のまっすぐな瞳が、じっと私を見つめていた。
いつもなら「おい、顔赤いぞ」なんてからかってくるはずの彼が、今は何も言わず、ただ真剣な光を宿した瞳で私を閉じ込めている。
「うわ、マジか。一気に降ってきたな……」
隣に立つ翼が、濡れた前髪を無造作に掻き上げながら、薄暗い空を見上げて溜息をつく。
天気予報の言う通り、放課後の帰り道を狙ったかのような、突然のゲリラ豪雨。
私たちは傘を持っていなくて、駅の小さな待合ロビーに逃げ込むのが精一杯だった。
夕方のロビーは、同じように足止めを喰らった学生や会社員で溢れかえっていて、座る場所なんてどこにもない。
「アミ、こっち。人が来るから、もっと寄れ」
翼が私の肩を優しく引き寄せ、自分の体と自販機の狭い隙間に私を滑り込ませた。
背後から押し寄せる人の波から守るように、翼が私の目の前に両手を突いて、小さなシェルターを作ってくれる。
途端に、2人の距離が、お互いの吐息が触れ合うくらいに近くなった。
(……近すぎるよ、翼)
雨に濡れた翼のシャツから、ほんのりと夏特有の熱気と、彼の甘い香りが立ち上って、私の心臓はうるさいくらいに暴れ始める。
湿った空気のせいで、ロビーの中はひどく蒸し暑いのに、私の指先だけは冷たく震えていた。
ふと見上げると、翼のまっすぐな瞳が、じっと私を見つめていた。
いつもなら「おい、顔赤いぞ」なんてからかってくるはずの彼が、今は何も言わず、ただ真剣な光を宿した瞳で私を閉じ込めている。