アオハル×フラグ=恋。
   *


その日の帰り。

珍しく、
里穂は一人だった。


四人とも部活に入っていないから、
普段は基本いつも一緒に帰る。

でも今日は、

菜「ごめん今日ちょっと予定ある!」

好「私もです!」

愛「委員会だわ」

と、
珍しく全員バラバラだった。


「こんな日もあるもんだねぇ」


里穂はひとり呟きながら、
自転車へまたがる。


でも。


かく言う里穂にも、
今日はちょっとした目的があった。


「それなら……この前見つけた本屋行ってみますかね」


つい先日。

なんとなく普段通らない路地へ入ってみた時、
ひっそりした古本屋を見つけたのだ。


少し古びた看板。

外まで漂ってくる紙の匂い。

なんだか雰囲気が良くて、
ずっと気になっていた。


里穂は自転車を漕ぎ出す。


春の夕方。

オレンジ色の光が、
街をゆっくり染め始めていた。


   *


「ふぅ、ここだ」


学校からそんなに遠くない。

しかも家へ帰る途中にある。


めちゃくちゃいい場所。


……なのだが。


ひとつだけ問題がある。


路地を一本入った瞬間、
急に人通りがなくなるのだ。


地元ではあるけど、
ほとんど通らない道。


今日は曇り空のせいか、
なんだか少し薄暗く感じた。


その時。


男「ねぇ、君」


「っ……」


突然、
後ろから声をかけられる。


振り返ると、
男が三人立っていた。


男A「え、めちゃくちゃ可愛くない?」

男B「遊び行こうよ〜」

男Aが、
自然な動きで肩へ手を置いてくる。


ビクッ。


身体が跳ねた。


男C「そんな怖がんなって〜」


いつの間にか、
囲まれていた。


男A「車あるからさ、ちょっとだけ行こうよ」

「えっ……わ、私用事あるんで……!」


里穂は俯いたまま、
横を抜けようとする。


男B「いやいや無理無理!」

男C「ちょっと付き合うだけでいいからさ〜」


腕を掴まれる。


「やっ……!」


強引に引っ張られる。


怖い。


頭が真っ白になる。


男A「いいから来いって」

「やだっ……!!」


抵抗する。


でも、
力が強い。


少しずつ、
路地の奥へ引っ張られていく。


怖い。

怖い怖い怖い。


「いやぁっ!!」


その瞬間。


──ドゴッ。


鈍い音が響いた。


次の瞬間。


ドサッ。


男Cが、
地面へ倒れていた。


動かない。


男A「……は?」


男B「だ、誰だよお前!」


里穂は、
潤んだ目で後ろを見る。


そこに立っていたのは。


蒼だった。


蒼は無言のまま、
男たちを睨んでいる。


その目が、
今まで見たことないくらい冷たかった。
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