アオハル×フラグ=恋。
「その子の腕、離せよ」


低い声だった。


その瞬間。

里穂の背筋に、
ぞわっと鳥肌が走る。


蒼は、
男たちを真っ直ぐ見据えていた。


いつもの柔らかい雰囲気なんて、
欠片もない。


男A「……舐めんじゃねぇぞ!!」


男Aが、
蒼へ殴りかかる。


でも。


蒼はそれを軽く避けた。


そして。


避けざま。


──ドゴッ。


鳩尾へ、
鋭い一撃。


男A「ゔっ……ぉぇぇ……!!」


声にならない声を漏らしながら、
男Aが地面へ崩れ落ちる。


脂汗を流し、
苦しそうにもがいていた。


男B「う、うおおおお!!」


男Bも勢い任せに掴みかかる。


蒼は正面から来た男へ、
そのまま拳を振り上げた。


──ガッ!!


綺麗なアッパー。


男Bの身体が跳ねる。


そのまま、
膝から崩れ落ちた。


静かになる路地。


蒼は息ひとつ乱していなかった。


そして。


蒼「……大丈夫か?」


今度は、
いつもの声だった。


蒼は尻もちをついた里穂へ、
そっと手を伸ばす。


「ど、どうしてここに……?」


震える手で、
蒼の手を掴む。


蒼は里穂を立たせながら言った。


蒼「この先の古本屋、よく行くんだ」

「えっ!?」


里穂は目を丸くする。


「わ、私も今日初めて行こうと思ってた!」

蒼「まじか」


蒼も少し驚いた顔をした。


蒼「……まぁ、今日はやめとく?」

蒼「怖い思いしただろ送るよ。」


里穂は少し考える。


「うーーーーん……」


難しい顔。


でも。


「……いや、行く」

蒼「まじ?」

「うん。せっかく来たし、行ってみたかったから」


そう言って、
里穂は小さく笑った。


その笑顔を見た瞬間。


ドクン。


蒼の心臓が大きく跳ねる。


やばい。


可愛すぎる。


気づけば、、、






蒼「……西尾は、俺が絶対守るよから安心して」


口から出ていた。


「……えっ」


里穂が固まる。


蒼も固まる。


数秒。


沈黙。


蒼「あっ、いや、ごめん!」


蒼は一気に顔を赤くする。


蒼「なんか今の違っ……いや違くないけど……!」


テンパってる。


里穂も、
顔を真っ赤にしていた。


「う、ううん……!」


小さく首を振る。


「ありがとう……そう言ってくれて……」


声が少し小さい。


そして。


また二人とも、
気まずそうに下を向く。


春の風だけが、
静かに吹き抜けた。


蒼「……まぁ、その」

蒼は咳払いする。


蒼「行くか。本屋」

「……う、うん」


ぎこちない。


でも。


そのぎこちなさが、
嫌じゃなかった。


二人は並んで、
静かな路地を歩き出した。
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