アオハル×フラグ=恋。
カランカラン——。


扉が大きな音を立てて、
里穂が勢いよく店を飛び出していった。


静かだった古本屋に、
余韻だけが残る。


蒼はしばらく、
その閉まった扉を見つめていた。


そして。


「……っはぁ」


大きく息を吐く。


胸がうるさい。


自分の心臓が、
今にも胸を突き破りそうなくらい跳ねている。


蒼は胸へ手を当てて、
ゆっくり深呼吸した。


蒼「……反則だろ……」


小さく漏れる。


本の内容なんて、
一ミリも頭に入っていなかった。


里穂が、
本越しに何度もこっちを見ていたこと。

最初から気づいていた。


本の上から、
目だけ出してちらちら見てくる。


その度に。


心臓が変な音を立てる。


平静を装うので、
必死だった。


そして。


顔を真っ赤にしながら、
逃げるみたいに飛び出していった里穂。


蒼「……少しは意識してくれたってことで、いいのか?」


誰に言うでもなく、
ぽつりと呟く。


オレンジ色の夕陽が、
古本屋の木枠の窓から差し込む。


静かな店内。


BGMもない。


ページをめくる音すら、
今は聞こえない。


そんな空間で。


蒼の心臓だけが、
やけに大きく鳴っていた。
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