アオハル×フラグ=恋。

勇気の1歩

   *


次の日の昼休み。


里穂は、
朝からずっと落ち着かなかった。


授業中も。

移動教室でも。

蒼と目が合うたび、
心臓が変な音を立てる。


その度に、
昨日の言葉を思い出してしまう。


『西尾は、俺が絶対守るよ』


「っ〜〜〜……」


里穂は机へ突っ伏した。


顔が熱い。


意味が分からない。


その時。


菜々子「りほりほ、どうかしたん?」


昼休みになるなり、
いつもの三人が集まってきた。


菜々子が心配そうに顔を覗き込む。


「はっ!? えっ、いやなんでもない!!」


慌てる。


好桜「なんだか里穂ちゃん、お顔赤いですよぉ?」


好桜も心配そうに首を傾げる。


好桜「熱あるんじゃないですか?」

「ないないない!」


愛華「……まじでどうした」


愛華は腕を組みながら、
じっと里穂を見る。


愛華「昨日LINEも未読だったし」

「うっ」


図星。


菜々子「西尾っちはなんか知らない?」


菜々子は、
蒼の方を見る。


その瞬間。


ガタッ!!


里穂が勢いよく立ち上がる。


蒼「えっ」


ビクッと蒼が里穂の方を見る


蒼「いや! なんも知らないかな!!」


声がちょっと裏返ってる。


完全に怪しい。


愛華「……おい」


愛華の目が細くなる。


里穂「ちょ、ちょっとトイレ!」


そう言って、
早足で教室を出ようとする。


愛華「待て」


ガシッ。


腕を掴まれる。


「ひゃっ!?」


愛華「里穂、こっち来な」

「えっ、ちょっ——!」


そのまま引っ張られる。


後ろから。


菜々子「うわ始まった!!!」

好桜「事件の香りがします!!」


二人もノリノリでついてくる。


   *


────ガチャ。


屋上の扉が開く。


春の風が、
一気に吹き抜けた。


愛華は屋上へ入ると、
そのまま鍵を閉める。


カチャリ。


「え、なんで鍵閉めるの!?」

愛華「逃がさないため」


怖い。


三人が、
じりじり近づいてくる。


愛華「……で?」


菜々子「白状しなさーい♡」

好桜「ゆっくりで大丈夫ですよ♪」


「うぅ……」


里穂は観念した。


そして、
ぽつりぽつりと話し始める。


昨日、
一人で帰ったこと。


古本屋へ向かったこと。


男三人に囲まれたこと。


無理やり車へ連れて行かれそうになったこと。


蒼が助けてくれたこと。


『絶対守るよ』


って言われたこと。


全部。


そして最後に。


「……今日、朝からずっと身体熱くて」


里穂は胸元を押さえる。


「なんかずっとドキドキしてて……」


顔を赤くしながら言う。


「心臓の病気かもしれない……」


話し終わって、
三人を見る。


すると。


三人とも。


めちゃくちゃニヤニヤしていた。


「……は?」


里穂は困惑する。


「えっ、なにその顔」


菜々子「胸がドキドキぃ〜〜〜♡」

好桜「“俺が守るから”ですってぇ〜♡」

愛華「心臓の病気ぃ〜〜〜???」


三人とも、
ニヤニヤが止まらない。


「ちょっ、なんで笑ってんのよ!!」


里穂は顔を真っ赤にする。


「こっちは真剣に悩んでるのにー!!」


菜々子「いやもう完全に少女漫画じゃん!!フラグ立ちすぎでしょ!!!!」

好桜「素敵すぎますぅ〜……♡」

愛華「やっぱフラグって立つんだなぁ」


菜々子「やっぱりフラグってすごい!!」


好桜は、
なぜか自分のことみたいに嬉しそうだった。


「だからなんでみんな嬉しそうなの!?」


里穂は涙目になる。


すると。


愛華が、
大きくため息を吐いた。


愛華「病気なわけないだろ」


「えっ?」


愛華「それはな——」


愛華は、
ニヤッと笑った。


愛華「恋だよ」
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