アオハル×フラグ=恋。
恋って何?


好きになるって、
どういうこと?


愛華たちの話を聞いて。

里穂は、
自分が蒼を意識していることだけは理解した。


この気持ちは、
今まで味わったことのない感情だったから。


胸が苦しくて。

でも、
少しだけ嬉しくて。


頭の中が、
蒼でいっぱいになる。


   *


教室へ戻ると、
蒼はもう席についていた。


窓際の席。

頬杖をつきながら、
ぼんやり外を見ている。


その横顔を見ただけで。


ドクン。


また心臓が跳ねる。


「っ……」


里穂は慌てて目を逸らし、
極力蒼を見ないようにしながら席へ座った。


蒼「……大丈夫か?」


「ひゃっ!?」


突然話しかけられて、
肩が跳ねる。


蒼は、
校庭を見たままの里穂を不思議そうに見ていた。


「えっ!? う、うん!」


しどろもどろになる。


「別に大丈夫だけど!」


蒼「……なんでこっち見ないんだよ」


「いやっ、いやいやいや!」


里穂はぶんぶん首を振る。


「なんでそっち向く必要あるの!?」


顔が熱い。


体温が、
どんどん上がっていく。


蒼「いや」


蒼は少し笑った。


蒼「西尾の顔見たいからだけど」


────ボンッ。


里穂の頭が、
完全にショートした。


「…………っ!!」


無理。


無理無理無理。


どう返したらいいのか分からない。


蒼の方なんて、
絶対向けない。


その時。


────ガララッ。


教室の扉が開く。


先生「はい席つけー」


授業が始まる。


「っはぁ……」


里穂は小さく胸を撫で下ろした。


助かった。


……いや、
助かってない。


どうしちゃったの私。


愛華に恋だって言われてから。


ますます蒼を意識してしまう。


菜々子が話す恋愛話は、
いつも楽しそうだった。


“好きな人と目が合った!”

“LINE来た!”

“手が触れた!”


そんな話を聞きながら。


いつか自分も、
そういう経験する日が来るのかなって。


少しだけ思ってた。


でも。


こんなに苦しいものだなんて知らなかった。


こんなに、どうしたらいいか分からなくなるなんて知らなかった。


こんなに、頭がいっぱいになるなんて知らなかった。


出会ってまだ十日くらい。


転校生の、
平井蒼。


里穂は横目で、
ちらりと蒼を見る。


愛華に言われた。


“他の男子とは違う感情”


そこに正直になるなら。


もっと知りたい。


もっと話したい。


もっと——。


「……っ」


里穂は慌てて校庭へ視線を戻す。


外では、
体育の授業をしている生徒たちが見えた。


太陽の下で、
楽しそうに笑っている。


今の里穂とは真逆だった。


胸の奥が、
ずっと騒がしい。
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