アオハル×フラグ=恋。

お誘いは突然に

   *


その日の夜。


蒼は、
スマホと睨めっこしていた。


里穂へLINEを送るか、
送らないかで。


やっと手に入れた、
里穂のLINE。


女の子へLINEを送ることで、
こんなに悩んだのは初めてだった。


東京にいた頃は、
正直めちゃくちゃモテていた。


告白なんて何回もされたし。

LINEだって、
毎日のように届いていた。


今だって、
東京の友達からは頻繁に通知が来る。


でも。


蒼は、
こんな経験をしたことがなかった。


たった一人の女の子に、
LINEを送ることがこんなに難しいなんて。


話しかけるだけで。

目を合わせるだけで。

こんなに心臓が跳ねるなんて。





里穂の笑顔。

怒った顔。

変顔。

照れた顔。


全部、
“好き”に変換される。


本当は。


自分から動かなきゃいけないって、
蒼も分かっていた。


でも。


がっつきすぎたら、
怖がられるんじゃないか。


重いって思われるんじゃないか。


嫌われたらどうしよう。


そんな考えばかりが、
頭の中をぐるぐる回る。


LINEのトーク画面には。


『今日はありがとう』


その文字だけが打ち込まれていた。


でも。


送信ボタンが押せない。


蒼「……っはぁ」


スマホを放り投げる。


そのまま、
スマホを放り出し、ベッドへうつ伏せに倒れ込んだ。


蒼「くそっ……情けねぇな、俺」


静かな部屋で、
小さく呟く。


その時。


────ピロン。


通知音が鳴った。


蒼の身体が跳ねる。


ベッドへ突っ伏したまま、
慌ててスマホを探す。


通知画面を見た瞬間。


蒼の心臓が止まりそうになった。


表示されていた名前。


────西尾 里穂。



蒼は勢いよく起き上がる。


LINEを開く手が、
少し震えていた。


『平井くんとの初LINE!』

『今日は傘貸してくれてありがと』


たった二行。


なのに。


蒼の口元は、
自然に緩んでいた。


駄目だ。


嬉しすぎる。
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