アオハル×フラグ=恋。
   *


一方その頃。


里穂もまた、
蒼へLINEを送ったあと、
不安そうにスマホを見つめていた。


既読がついて、
もう五分。


なのに、
返信が来ない。


「……うぅ」


里穂は枕へ顔を押し付ける。


勢いで送ってしまった。


『平井くんとの初LINE!』


……絶対いらなかった。


なんであんな文章入れたの私。


引かれたかもしれない。


迷惑だったかもしれない。


だって普通、
五分も空ける?


里穂は、
ぎゅっと枕を抱きしめる。


この人のこと、
もっと知りたい。


そう思った男の人なんて、
初めてだった。


だからこそ、
余計怖い。


嫌われたらどうしよう。


重いって思われたらどうしよう。


「……はぁ、何してんだろ、私」


窓の外では、
まだ弱い雨が降っていた。


風に煽られた雨粒が、
窓ガラスへ当たる音が聞こえる。


その音を聞きながら、
里穂はゆっくり目を閉じた。


濃すぎる一日だった。


疲れていたのか。


里穂の意識は、
少しずつ夢の中へ沈んでいく。


   *


「……平井くんのことが好きなの!」


里穂は、
勇気を振り絞って想いを伝える。


蒼は、
無表情のまま里穂を見ていた。


沈黙。


そして。


蒼「……お前のこと、好きでもないし」


冷たい声。


蒼「ただ、付き合えたらステータスになるかなって思っただけ」


「……っ」


里穂の目から、
涙が溢れる。


初めて好きになった人。


その相手から向けられる、
あまりにも残酷な言葉。


胸が、
ぐしゃぐしゃになる。


蒼は、
そのまま背を向けて歩き出した。


「待っ……」


声が出ない。


その時。


男「さぁ、行こうか」


背後から声がする。


振り返ると。


古本屋で絡んできた男たちが、
そこに立っていた。


男「今度は離さないからね」


「いやっ……!」


里穂は、
腕を掴まれる。


抵抗する。


でも。


暗闇へ、
どんどん引きずり込まれていく。


絶対守るって、
言ったのに……。


涙が零れる。


嫌。


怖い。


助けて——。


────ピロン。


その瞬間。


里穂は、
はっと目を覚ました。


「……ゆ、夢?」


荒い呼吸。


嫌な汗。


心臓が、
まだバクバク鳴っている。


「……嫌な夢……」


トラウマになりそうなくらい、
リアルだった。


気づけば、
一時間も眠っていたらしい。


時計を見ると、
もうすぐ二十二時。


里穂は慌ててスマホを見る。


通知。


三件。


送り主の名前を見た瞬間。


里穂の表情が、
ぱっと明るくなる。


そして同時に。


また、
心臓が跳ねた。


────平井 蒼。


「……っ」


指先が少し震える。


嬉しい。


その感情だけで、
胸がいっぱいになった。
< 27 / 56 >

この作品をシェア

pagetop