アオハル×フラグ=恋。
「ちょっとなに!?」

里穂は蒼の手を振り払う。

蒼「ごっ、ごめん」

「まだ片付けとかあるから私行くから」

里穂は素っ気なくそう言うと、体育倉庫の扉へ向かう。

蒼「ちょっと待てって!」

再び蒼が手を掴む。

「やめて!」

里穂は振り返らないで言う。

蒼の顔を見たら、また何も言えなくなりそうだった。

「蒼のこと忘れようとしてるの!」

その言葉に。

蒼の身体が固まる。

蒼「忘れようとって……なんだよ」

少しだけ蒼の握る手に力が入る。

蒼「俺なんかした?」

「……」

「心当たりないならいいよそれで」

蒼「良くないだろ!」

蒼の声が響く。

蒼「素っ気ない態度とか」

蒼「LINEだって返信ないし」

蒼「何かしたなら言ってほしい」

里穂は唇を噛む。


「……ただ」

ぽつりと呟く。

「もう遅かったって思ってるだけ」

蒼「遅かったってなんだよ」

里穂は目を閉じる。

そして、

震える声で言った。

「私は」

一度言葉が止まる。

それでも絞り出す。

「蒼の特別になりたかっただけだから」

蒼の目が見開かれる。

「けど」

里穂は続ける。

「蒼の特別は詩音さんでしょ?だからもういいって言ってるの」

数秒。

沈黙が流れる。

蒼「……はぁ?」

間抜けな声だった。

「詩音?」

蒼は眉をひそめる。

「なんで詩音が出てくるんだよ」

「隠さなくていいって」

里穂は俯いたまま言う。

「私知ってるんだから」

胸が痛い。

思い出したくないのに。

あの光景が浮かぶ。

「蒼と詩音さんがキスしたこと」

蒼「……は?」

今度は本当に固まった。

数秒。

完全に思考停止している。

蒼「いや」

蒼「え?」

蒼「詩音とキス?」

蒼「してないから」

即答だった。

けれど。

里穂は首を振る。

「隠さなくていいって言ってるじゃん!」

蒼「いやだから!」

「離してよ!」

里穂は手を振り払おうとする。

蒼「待てって!」

蒼も必死だった。

蒼「なんか誤解があるって!」

「もういいって!!!」

里穂は思い切り腕を振る。

その瞬間だった。

身体のバランスが崩れる。

「あっ」

足がもつれる。

後ろには古い体育倉庫の棚。

蒼「おい!」

里穂の身体が棚へぶつかる。

ガタンッ

嫌な音。

棚が大きく揺れる。

蒼の顔色が変わる。

蒼「あっ、危ない!」

里穂の視界が揺れる。

次の瞬間。

蒼が飛び込んできた。

強く蒼に突き飛ばされる

「えっ……」

同時に、

ギギギギッ……

古い棚が傾く。

そして。

────ガシャァァァン!!!!

体育館中に響くほどの大きな音が鳴り響いた。
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